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インド−大晦日、出会いの波が押しよせる 3
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「By the way, it's 2009 now.」


そういったのはTutunだった。
腕時計に目をやると、確かに深夜12時を数分回っていた。


Happy new year !!


インドではあまり1月1日の正月は祝う習慣がないので、私たちの周りにいた他の電車待ちの乗客は目をつぶったままだったが、しゃべりつかれて逆にハイになっていた私達はお互いにHi Five して新年を祝った。




Tutun,Mimo,Pupun, Suijani の従兄弟4人組
Titi, Tataの姉弟2人組


合計6人の子供に囲まれて、私は2009年を迎えたのだった。


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事の始まりは、1匹のねずみだった。

女性用の待合室に入った私は椅子がほとんど埋まっているのを見て、床に座ろうかと場所を検討し始めた。すると、一人の女性が手招きして自分の娘のとなりの空いている席を指差した。ベンチの前にはテーブルが置いてあり、大きな荷物を持っていた私はそこまで行くのを諦めたのだが、その女性がわざわざ荷物をどかしてくれたりして道を空けてくれた。

オールインド人の真ん中にポツンと一人、明らかに部外者の東アジア人が放り込まれたようで、お互いになんだか居心地が悪いような感じではあったが、長い待ち時間だということがわかっていたので、椅子に座れるのはありがたかった。お礼を言い、中学生ぐらいの娘さんの横の席についた。


シドニーシェルダンの前に、香港で購入して読みかけだった村上春樹を取り出して読み出してしばらくすると、私の足元を何かがかすめた。驚いて椅子の下を覗き込むと、背中側の壁に小さな穴が開いており、そこから1匹のねずみが出たり入ったりしていた。


あまりも素早いそのねずみは、私たちの足元をまるではじかれたビー玉のように自由に行きかっているのだが、ちょうど私の足元が外との出入り口になっていたため事あるごとに驚かされ、そのたびに隣に座っていた女の子と顔をあわせてクスクス笑いあった。


そんなことをしているうちに、お互いに緊張が解けたというか、少しずつ世間話をするようになった。
これからコルカタに帰る途中なんだけど、私と同じように電車が何時間も遅れているとか、女の子はTiti と言う名前で12歳、男の子は8歳でTata と言う名前、学校で英語を習っている、などなど。


本を読んだり、話しをしたりしていると、今度は反対側に女の子2人が座った。
一人はとても積極的でお喋り好きなSuijani もう一人は彼女の従兄弟、Pupun。こちらはあちこちに散らばっている親族がコルカタに集合するとのことで、ここにいる数名の女性のほかに男性待合室にも何人か親戚が同じ電車を待っているとのことだった。


そのうちSuijani の別の従兄弟、2人の男の子Tutun とMimoもやってきた。
Tutun はとても明るくて賢い男の子で、日本のことを良く知っていた。

「日本は4つの島でできていて、ホンシュー、シコク、ホッカイドー、後もうひとつ、なんだっけ?」
「日本でサッカーの人気が出たのは2002年でしょ?」

最初の方の質問は、九州だよ、と答えられたが2つ目は逆に私がそうなの?と聞き返してしまった。
彼曰く、日韓合同のワールドカップがこの年に開かれたらしい。(スポーツ観戦にまったく興味がないのでそんなこと覚えていなかった・・・)


だんだんと「日本について」の質問大会になってしまい、時には英語力不足だけでなく日本に関する知識不足で冷や汗ものの時もあった。
一番答えに詰まってしまったのが、「ブシドーって何?」という質問だった。


海外の人に伝えたいことなのに、説明ができない。英語が通じないときは絵に描いたりしていたが、精神的なことだったのでそれもできなかった。いや、それ以前に、武士道を言葉で説明することができなかった。感覚的にわかっているのだが、それを言葉で説明しろと言われるととても難しかった。

小さい頃から体に染み付いてきた文化というもの、その精神的・感覚的な部分は非常に説明が難しく、同じ文化を共有しない者にとっては理解しにくい事である。でもそこを何とか上手に説明できれば、理解してもらえなくても受け入れてもらう事ができる。そうやって文化間の溝を埋め、お互いの文化を尊重しあうことができれば、いろいろないざこざが減るのだろうな、と思う。
それだけに、自分がここまでその説明ができないと思い知らされて少し情けなかった。



なんとか一通り質問大会が終わり、今度は逆に私がいろいろとインドについて教えてもらった。
ヒンドゥー語の挨拶や、今まで屋台で買って食べたものの写真を見せてその名前を聞いたり、インド人は学校で2桁の九九を覚えるって本当?などと尋ねたりした。

2桁の九九は全部は覚えないしもう忘れちゃったよ、なんて答えに少しがっかりしたものの、それでもこの6人の子供たちと話しをしていると、インド人は賢いなぁという印象を受けた。


8歳で学校で英語を習っていないTata 以外は全員英語がぺらぺらだったし、性格が積極的かシャイかの違いはあるが、みなしっかりとした受け答えだった。



そのうち折り紙の講習会になり、全員で鶴を折った。

「Like this?」
「And next?」

全員が一生懸命鶴を折ろうと、目を輝かせながら聞いてくる。
それがもう夜の11時過ぎで、周りにいる他の客は皆座ったまま目を閉じぐったりしていることなんか、私たちには関係なかった。


子供たちも、ただでさえ長距離移動のイベントの最中でテンションが上がっているときに、こんな変な外国人にこんな場所であって、きっと余計に興奮して眠気なんかふっとんでしまっていたのだろう。



そうやっているうちに、いつのまにか2008年は過ぎ去っていた。
もはや電車の遅れなんてこれっぽっちも気にならなくなっていた。



2009年になり、30分もしないうちに今度は別れの時間がやってきた。
最初に私に席を開けてくれたTiti の家族の電車がまもなく到着するとアナウンスが入ったのだ。


席を空けてくれたTiti のお母さん、そしてTitiとハグし、迎えに来たおとうさんとTataと握手した。

「ダンニャワード!」
「アルビダー!」

繰り返し、ありがとう、さようなら、と言いながら4人を見送った。


そしてその15分後、今度は私の番だった。
「あっ、これお姉ちゃんの電車のアナウンスだよ!」


あまりに突然だったので少し慌ててしまい、ハグし忘れてしまったが、絶対に写真を送るからね、鶴以外の折り紙も調べて折って送るから、と4人とその家族に手を振り、何度も後ろを振り返りながら電車が来るホームへと向った。




出会いの年末、別れの新年となった。階段を駆け上がる私の足は軽かった。

時計は1時15分前、深夜で疲れていることに間違いはなかったが、そんなものを吹っ飛ばすほどのすばらしい時間、出会いだった。


6人の子供の純粋さはもちろん、直接ではないがその子供を通じて果物やお菓子を分けてくれた親御さん達の親切もうれしかった。




一人旅は、いつもこんな感じだ。

たくさんの嫌な事がある。

でもたくさんの素晴らしい事もある。



一人だから、嫌な出来事を全て自分で受け止め、対処しなければならない。
そこに相談する友人はおらず、全てが自分の判断にゆだねられてしまう。言い訳が効かないだけに、へこんでしまうことが多い。そして旅に出たことを後悔したりする。


それでも前に進まねばと続けていると、日本では見たことのないような風景に遭遇したり、今回のような素晴らしい出会いがあったりする。そして、この感動を誰かに言いたくて、伝えたくて、友人の顔を思い浮かべるのだ。



嫌な事からは次に生かせる何かを学び、素晴らしい事は次への原動力となる。


嫌な事があるのを知っているから、旅に出ることを躊躇する。
素晴らしい事があるのも知っているから、躊躇を振り払い旅に出る。




私の一人旅はこうやって続いていくのだ。



       
Pupun & Suijani       Titi, Tata & their Mom          Mimo & Tutun




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カテゴリ:インド | 19:31 | comments(2) | trackbacks(0) | - |
コメント
marsanさん

コメントどうもありがとうございます。
インド、私もかなりためらいましたよ。
おなかが弱い友人なんかは、絶対無理!と断言してました(笑)

ためらった結果行かなかったと言うのは、まだそこまで気持ちが本気でないのだと思います。
他に優先したい事があったりしたらインドが後回しになるのは仕方がないこと。でも行きたいなぁと思い続けていれば、順番が回ってきたり優先順位があがったりするので、きっとそのうちインドに足を踏み入れることになるはずです!

私は今度は南インドに行きたいと思っています。
北に比べると、南国リゾートでおだやか〜な感じらしいです。お互い、早くインドの順番が回ってくるといいですね♪
| Ocha | 2009/03/24 12:11 AM |
一人でインドに旅する女性、ちょいとカッコよくみえます。行きたいんだけど、インドに行くのをいつもためらってしまって。
| marsan | 2009/03/23 3:04 PM |
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