いつまでたっても着かないアーグラー。昼には着くと思っていたのに、ガイドの彼に聞くと、多分夜の9時ごろになるんじゃないかという話しだった。
宿は着いてから探す予定だったが、不安になってくる。ただでさえ元日の夜で混んでいるんじゃないかと少し心配だったし、夜、知らないリクシャーに乗る
恐怖がまだ残っていたので、宿を確保しておくことにした。
アーグラーに近づくと、携帯の電波も安定してきたのでガイドブックに載っている宿に電話をかけた。金曜定休のタージマハルにはもう入れないことが確実だったので、せめて外から眺められる近くの宿を取ろうと思ったのだが、2軒かけた両方が満室だった。
仕方なく、駅に程近いHotel Ajay International というところに電話をすると、水シャワーの部屋ならひとつ空いていると言われた。少し迷ったが、びくびくしながらリクシャーワーラーに頼って夜の街で宿を探すよりは、1日ぐらいお風呂に入れない方がいいや、と思い予約した。
21時間の列車の旅を終え、ようやくアーグラーについた。
ガイドの彼に別れを告げ、駅から徒歩2分というホテルに向う。しかしまず駅の出口がわからない。適当に検討をつけてキョロキョロしながら歩いていると、いつものように客引きに話しかけられた。
Hotel Ajay International に行くんだというと、反対側だという。それならばときびすを返すと、夜はそっちの道は通れないと言い出した。かなり怪しいが、方向音痴の私はたった2分の距離でも迷う自信がある。夜の闇の中ホテルを探すのも怖かったし、このリクシャーに乗ることにした。
リクシャーまで歩く間、ホテルを紹介するとしつこく言ってくる。この男もドライバーではなく客引き係だったようで、連れて行かれた先には別のドライバーと、韓国の女の子の2人組がいた。
この女の子達はどうやら1日ドライバーを雇って観光をした後で、これから列車に乗ってどこかへ行くらしかったが、リクシャーと交わす会話の軽いノリは、日本のテレビでよく見る頭の悪そうな若者と全く同じだった。こういう事もグローバル化しているんだろうか、なんてことをチラッと思いながら彼らの会話を終わるのを待った。
リクシャーの客引きはどうしても私にホテルを紹介したいらしく、その女の子達に「俺が紹介したホテル良かったでしょ?」と聞く。もちろん女の子達はその軽〜いノリで、「イエ〜ス」なんて答える。
私がいくら、もう予約してあるし、そのホテルに泊まりたいんだと言っても聞く耳を持たない。
いい加減頭にきて、乗せたくないんだったら他をあたるから、と強く言うとようやく空いている別のリクシャーに案内された。
しかし、乗ったら乗ったで今度はそのドライバーが明日の1日観光を勧めてくる。
日本人の友達がいるんだと、お約束のメッセージ帳を取り出して私に見せるが、そこには日本語で、「みやげ物屋に連れて行かれるから気をつけて」と書かれている。
本人に直接意見を言えない日本人に、人の意見を聞かないインド人の図が見える。
教えてあげるのが親切なのか、だまっているのが親切なのか。
日本人は陰でこそこそ悪口を言うと思われるのも嫌なので黙っておくことにしたが、あの勧誘のしつこさ、強引さにはまったく呆れてしまう。
最後の最後までセールストークをし続けたドライバーを振り切りながら、ようやくHotel Ajay International の扉を開けた。
明日は自転車を借りて一人で観光しよう。
そう心に誓い、チェックインカウンターへと向う。
安宿の部屋の鍵は南京錠だ。
出かける時に外側にかける。
下の黄色いのは、ルームサービスのメニュー。
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私が。